家賃が最大600万円補助される!?「家賃支援給付金」って?

新型コロナウィルスの拡大を受けて発令されていた緊急事態宣言が、5月14日に東京や大阪、北海道等の特定警戒地域以外を除く39県で解除されました。

 

しかし、専門家からは第2波、第3波の感染拡大もあるとされており、今後の経済の回復の見通しも立たないなか、多くの企業で目先の資金繰りに苦慮する事業者も増えてきました。事実、不動産賃貸業をされておられるクライアント様においても、実に半分近い企業から家賃の延滞や猶予の申し出があったとのことです。

 

こうしたなか、政府は新型コロナウィルスの追加経済対策を早期に実現するため、5月27日を目途に閣議決定を目指す第2次補正予算案の取りまとめを行いました。

 

そこで、今回はこの2次補正予算による追加経済対策の中でも注目を集める、「家賃支援給付金」について紹介します。

 

1.「家賃支援給付金」とは?

家賃支援給付金とは、新型コロナウィルスの影響により大幅な売上減少に見舞われた事業者に対し、一ヵ月あたり最大100万円の家賃補助を行う制度です。

制度の名前に「家賃支援」とあるとおり、基本的には家賃の支払いに充てることが前提の給付となりますが、給付後に家賃の支払いに充てたことを証明する義務はないため、実質的には借入金の返済等の用途にも利用することは可能です。

また、「持続化給付金」を受給した事業者でも適用することは可能となるため、両方の給付金を受給することが可能となります。

 

2.給付の対象・要件は?

対象となる事業者の規模等の要件は持続化給付金と同じです。国内の中堅中小企業・個人事業主が対象として想定されていて、具体的には以下のどちらかを満たす必要があります。

 

・資本金の額が10億円未満であること。

・資本金の額が定められていない場合は、常時使用する従業員数が2,000人以下であること。

 

また、給付要件は「持続化給付金」の要件に近いものとなり

・単月の売上(5月~)が前年同月比で50%減

・3か月連続(5月~)の売上の合計が前年同期間比で30%減

どちらかの場合に要件を満たすことが必要になります。

 

なお、この給付要件を判定するうえでの「売上」の金額には「持続化給付金」や例えば大阪府から給付を受けた「休養要請(外)支援金」といった給付の金額は除外して計算することが可能です。ただし、同じ支援金でも地方公共団体から賃料に充てるための支援(「中小企業等家賃支援給付金」等)を受けている場合は、家賃支援給付金の金額が減額される可能性があります。(ただし、あくまで受給済、もしくは受給することが決定している場合のみで、今後受給が決定される分については家賃支援給付金の金額に影響はありません。)

 

 

3.給付金の額は?

給付金の額は以下の金額を上限に6か月分が給付されます。

中堅・中小企業・・・

75万円以下は支払い賃料の2/3

75万円を超える金額は支払賃料の1/3

ただし、100万円/月が上限

 

個人事業主  ・・・

75万円以下は支払い賃料の2/3

75万円を超える金額は支払賃料の1/3

ただし、50万円/月が上限

 

例えば毎月45万円の家賃を支払している中小企業が支給要件を満たした場合は30万円の6か月分の180万円が支給されることとなります。満額の600万円を受給できるのは月に225万円以上の家賃を支払している事業者です。

この「家賃」には土地代や駐車場代の他、社宅や保養所の賃料も含まれます。また、共益費や管理費も対象に含まれますが、電気代や水道代等の光熱費や火災保険等の保険料、看板設置料等は対象にはなりません。

 

4.給付額の算定は?

給付額の算定は申請日の直前1か月以内に支払った金額が算定の基礎となります。例えば申請を8月10日に行った場合には、7月11日~8月10日までに支払った金額を基に算定されます。以下では、少しイレギュラーな場合の対応についてご紹介させていただきます。

 

①複数月の賃料をまとめて支払っている場合

申請日の支払いを1か月分に平均した金額が算定の基礎となります。

 

②賃料が売上に連動している場合

申請日の直前に1か月分として支払った賃料の金額と、2020年3月に賃料として支払った金額を比較し、低い金額が算定の基礎となります。

 

③支払の猶予や免除を受けている場合

要件に当てはまる申請者は2021年1月15日までであればどのタイミングでも申請することが可能です。現在家賃の減額等を受けている事業者は減額を受けている金額を基に受給できる給付金の金額を計算すると給付金の額は少なくなるため、元の賃料の金額を支払した後に申請することにより元の賃料の金額を基に給付金の金額を計算すること可能となります。例えば5月の売上が前年同月比で60%減額し要件を満たした事業者が、5月と6月の賃料を50万円から20万円に減額してもらい、7月の賃料を50万円にもどし支払した場合だと、6月賃料を支払した後に申請をすると20万円の賃料を基に給付金の金額が計算されますが、7月の賃料を支払した後に申請すると50万円の賃料を基に給付金の金額が計算されることとなります。

 

 

個人的にはこういった事業者の規模に応じて支給金額を変える仕組みは、持続化給付金よりも制度としてはよくできているのではないかと思います。スピードを意識したのでしょうが、持続化給付金は月に1億円の売上があるところでも、40万円の売上のところでも受給額は同じであり、これでは必要なところに必要な金額がいきわたる制度設計にはなっていないと思います。今回の「特別家賃支援給付金」は月々の家賃の支払金額といったある程度企業の規模と連動する形で受給額が変わってくるため、ある程度そういった不平等感はなくなるのではないでしょうか。(持続化給付金について思うことはこちらに書きました。)

 

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