配当所得、申告した方が得?申告しない方が得??

個人の方が配当の支払いを受けた場合の税金に関して、3通りの取り扱いがあることはこちらの記事でご紹介させていただきました。では具体的にどの取り扱いを選択すると一番有利になるのでしょうか?

それぞれの場合についてご紹介させていただきます。

 

1、株式の譲渡損が出ている場合。前年以前から繰り越してきた譲渡損がある場合。

「申告分離課税」が有利になります。株式の譲渡損(繰越損失)と今年度支払いを受けた配当の金額を相殺することにより、支払いを受けた配当から徴収されてる所得税の還付を受けることができます。

 

2、株式の譲渡損がない場合

株式の譲渡損がない場合はその年の他の所得の状況により、「申告しない」又は「総合課税で申告する」の2つから選択することとなり、どちらを選択するかはその方の「課税所得金額」に応じて決定します。

 

「課税所得金額」とは給与所得や配当所得等の各所得の金額から、社会保険や生命保険、扶養親族の控除等の各種控除を差し引いた後の金額のことです。この課税所得金額に応じて所得税が課税されます。ちなみに所得税の税率は以下の通りとなります。

 

~195万円      5%

195万円   ~330万円     10%

330万円   ~695万円     20%

695万円   ~900万円     23%

900万円   ~1,800万円   33%

1,800万円 ~4,000万円   40%

4,000万円~           45%

 

例えば4,000万円の課税所得金額の方であれば4,000万円全額に対して40%の税率で課税されるのではなく、~195万円までは5%、195万円~330万円は10%・・・・・とそれぞれの金額に応じた税率で課税されます。

 

また、上場株式の配当は支払時に以下の税金が自動的に源泉徴収(天引き)されます。

所得税  15%(復興特別所得税は一先ず考慮していません)

住民税   5%

 

①課税所得金額が900万円超の場合

課税所得金額が900万円を超える方は、配当所得については「申告しない」を選択した方が有利になります。

 

上記の税率の通り、課税所得金額が900万円を超える部分には33%の所得税が課税され、配当控除10%を適用後の正味税率が23%となります。総合課税で申告すると源泉徴収されている15%以上の税率で所得税が課税されることとなり損です。

 

②900万円以下の場合

課税所得金額が900万円以下の方は配当所得については「総合課税で申告」した方が有利となります。

 

上記の税率の通り、課税所得金額が900万円以下の部分には最高でも23%の所得税が課税され、配当控除10%を適用後の正味税率は13%となります。源泉徴収されている所得税は15%ですから過払いとなっている2%分の税金の負担が少なくなります。

 

ただし、住民税の負担は申告することにより大きくなります。住民税の税率10%から住民税の配当控除2.8%を控除した後の正味税率は7.2%となり、源泉徴収されている5%の税額よりも税負担が大きくなるためです。

所得税と住民税で異なる申告方法を選択することができますので、住民税については6月上旬までを目途に配当所得を「申告しない」申告書を市町村に提出することが必要となります。

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