仮想通貨の必要経費って?
仮想通貨を取引所等で売買した場合には「売却金額-取得価額(取得した金額)-必要経費」の計算式で求められる利益(所得)に対して税金が課税されます。今回はその必要経費と取得価額についてご紹介させていただきます。
1、必要経費の種類
仮想通貨の売却による利益を計算するうえで利益から控除することができる必要経費となるものにはどのようなものがあるでしょうか?例えば次のようなものが考えられます。
・売却した仮想通貨の取得価額
・売却の際に取引所に支払った手数料
・インターネットやスマートフォン等を使用するためのプロバイダ料
・パソコンやその周辺機器の購入費用
・仮想通貨投資に関連する書籍代
・仮想通貨投資に関するセミナー代
2、必要経費の注意点
当然経費を多く計上できたほうが利益の金額は圧縮され税金の金額は減少します。ただし、上記の必要経費に関しては注意点も多々あるのでご注意ください。
①上記にあてはまる場合でも必要経費として利益から控除できるものは、仮想通貨の売却のために必要な支出であると認められる部分の金額に限られます。
②パソコン等の機器については、使用可能期間が1年以上で、かつ10万円を超える資産についてはその購入年に一括して必要経費に計上することはできず、複数年にわたって分割して費用として計上することとなります。(減価償却)
③例えばプロバイダ料等、一つの支出が個人的な支出と仮想通貨の売買に必要な支出の両方にかかわりがある費用である場合は、仮想通貨の売買に直接必要であったことが明らかに区分できる場合に限りその部分を必要経費として計上することが可能となります。
具体的には使用した時間の割合に応じて按分する方法等があります。
3、取得価額ってどのように計算するの?
売却した仮想通貨の取得価額とはどのような金額になるのでしょうか?例えば同一の通貨を複数回にわたって購入した場合ではそれぞれ購入時の金額が異なりますためどの金額を取得価額として採用するかによって利益の金額も異なってきます。
そのような場合に計算結果に恣意性が介入しないよう、同一の通貨を複数回にわたって購入した場合の計算方法は「移動平均法」または「総平均法」という方法を用いて計算します。ただし、一度総平均法の方法で計算した場合は継続して総平均法の方法で計算することが必要となります。つまり、年ごとに有利な方法を選択して計算方法を変更することは禁止されています。
それぞれの計算方法は以下の通りとなります。
①移動平均法
移動平均法では、仮想通貨を購入する都度、購入した通貨の金額と既存の保有通貨の金額の合計を、購入数量と既存の保有通貨の数量の合計で除し、その時点における通貨1単位当たりの平均原価を算出する方法になります。
1月1日(既存の保有数量):100BTC(@110万円)
6月8日:購入 100BTC(@100万円)
7月31日:売却 50BTC
10月9日:購入 50BTC(@101万円)
11月21日:売却 150BTC
例えば上記の取引を1年間の間に行った場合・・・
7月31日売却時における平均原価=(100BTC×110万円+100BTC×100万円)÷(100BTC+100BTC)=@105万円
11月21日売却時における平均原価=(150BTC×105万円+50BTC×101万円)÷(150BTC+50BTC)=@104万円
②総平均法
一定期間ごとに、複数回にわたり取得した通貨の平均原価を算出し、この平均原価を取得価額とする方法になります。
例えば上記の取引を総平均法を用いて計算した場合・・・
平均原価=(100BTC×110万円+100BTC×100万円+50BTC×101万円)÷(100BTC+100BTC+50BTC)=@104.2万円
移動平均法、総平均法どちらを採用するかにより、利益の金額が異なってきますが、計算が簡単なのは総平均法になるかと思います。取引を頻繁にする方はどちらの方法をとったほうが税額が安くなるかと併せて、それぞれの方法をとった場合に取得価額の計算にどれだけの時間を要すかも考えて、計算方法を選択する必要があるかと思います。それぞれの計算方法については国税庁か便利な計算シートが公表されていますのでご活用ください、