配当にかかる住民税の申告方法についてご注意ください!
確定申告をされた方の中には所得税額の計算上において配当控除を適用するため、又は株式の譲渡による損失が生じたためその損失と損益通算(損失と利益の相殺)をするために、上場株式について支払いされた配当の金額を所得に含めて申告された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
所得税の確定申告書を提出すると自動的に税務署から各市町村に確定申告書の写しが送付され、自動的に住民税の確定申告を行ったことになりますが、実はこの配当所得は所得税の申告と住民税の申告で異なる課税方法を選択をすることが認められており、住民税の申告を改めて行うことにより以下の2のケースに該当する方は有利になる場合があります。
1、配当の課税方法は?
上場株式の配当は以下の3つのパターンで課税されます。
①総合課税・・・給与所得や事業所得等の他の所得と合算され超過累進税率で課税せれます。
【メリット】
総合課税で申告すると「配当控除」を適用することができます。
【デメリット】
合計所得金額が増えるため国民健康保険料が増加します。また、所得税の計算において扶養される親族となるための条件に影響します。
②申告分離課税・・・給与所得や事業所得等の他の所得とは合算せず課税されます。所得税は15.315%、住民税は5%の税率で課税されます。
【メリット】
申告分離課税で申告すると株式の譲渡損が生じた場合にはその損失と配当の利益を損益通算(相殺)することができます。
【デメリット】
合計所得金額が増えるため国民健康保険料が増加します。また、所得税の計算において扶養される親族となるための条件に影響します。
③申告不要・・・上場株式の配当は支払い時に所得税と住民税が源泉徴収(天引き)されますので申告しないことができます。
【メリット】
合計所得金額が増えないため国民健康保険料が増加します。また、所得税の計算において扶養される親族となるための条件に影響しません。
【デメリット】
配当控除が適用できません。また、株式の譲渡により損失が生じている場合でも損益通算(相殺)することができません。
2、住民税の申告書を提出することで有利になる場合
①上場株式の配当について、所得税は総合課税制度を選択し、住民税申告において申告不要制度(または申告分離課税制度)を選択する
所得税の計算において、配当を総合課税制度で申告すると上記1に記載の通り、配当控除を受けることができ、所得税の金額を減額することができます。詳しい計算は改めて別の機会を設けようと考えておりますが、課税所得金額が900万円以下であれば総合課税を選択したほうが有利になりますが、住民税額の計算上は申告不要を選択したほうが有利になります。また、上記1の③申告不要の場合のメリットで記載の通り国民健康保険の金額も増額せずに済みます。
② 上場株式の譲渡所得について、所得税の申告分離制度を選択して損益通算や譲渡損失の繰越控除制度を適用し、住民税申告において申告不要制度を選択する。
3、住民税の申告はどのようにしたらいいの?
所得税と住民税を異なる課税方法で申告する場合の手続きは申告先の各市町村によって詳細が異なります。例えば大阪市の場合は以下の大阪市のHPをご参照ください。
https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000384916.html