【税理士Tの本棚】「トヨトミの野望」
フィクションとのことですが概ね日本一の企業であるトヨタ自動車で実際に起こった事を基に書かれた小説なのではないでしょうか。グローバル企業の起伏の歴史、サラリーマン社長の愛社精神と悲哀、創業家一族の功罪が描かれており、グローバルかつダイナミックに展開が伝わってきました。
読んでいる途中では血筋に関するこだわりがあまりにばかばかしく感じ統一とトヨトミ自動車、ひいてはトヨタ自動車のことが嫌いになりました(笑)
創業者一族の名の基だけで、本当にあのように従業員は団結し困難に向かっていけるものなのか?私自身は中小企業においては同族経営は決して悪いものではなく、資本の力を持たない組織が、大企業と戦って勝ち残っていくためには同族経営ならでは、ワンマン社長ならではの意思決定の速さとカリスマ性、独断でも前に進んでいく強引さが必要だとは思いますが、上場企業でありあれほどの大企業である会社にあっては同族のしがらみはがんにしかならないように感じます。
とはいえ、物語終盤では統一の成長と武田との協力も見ることができ、トヨタの世界戦略や国内での危機対応の裏側を見ることができたビジネス書であったとともに、小説としてもとても面白い一冊でした。