法人で株式、FX、仮想通貨を取引する場合の期末評価の方法比較

会社を経営されている方の中にはその会社で株式を保有したりFXの取引をされている方も多数いらっしゃるのではないかと思います。個人が株式投資やFX、仮想通貨への投資を行う場合は、決済せずに保有しているそれらの投資商品に含み益があった場合でも課税されることはありませんが、法人の場合は個人とはそれぞれ取り扱いが異なります。今回は法人で株式やFX、仮想通貨の取引をする場合に、期末に決済せずに保有しているそれぞれの投資商品の期末評価方法と含み益が出ている場合の課税につきご紹介させていただきます。

 

1、株式の取り扱い

法人で保有している株式についてはその保有目的により期末評価の方法が変わってきます。

 

A、売買目的有価証券 → 期末時点の時価で評価

 

売買目的有価証券とは、その名前の通り、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券のことをいいます。例えば会社の中に短期売買で利益を得るための担当者がいる場合や、会社の総勘定元帳等の帳簿書類に短期的な売買を目的としたものである旨を記載したもののことをいいます。時価で評価するため、例えばその株式の株価が買った金額よりも上昇している場合は決済していないにも関わらず、含み益に対して課税されます。

 

B、売買目的外有価証券 → 帳簿価額(買った金額)で評価

 

Aの売買目的有価証券のように短期的な価格の変動を利用して利益を得るためではなく、長期的な保有を目的として取得した株式のことをいいます。例えば業務提携の木定期で保有するもの等が該当します。帳簿価額で評価するため、期末時点で含み益が出ていても課税されませんが、一方で含み損が出ている場合も損失として他の業務の利益と相殺することはできません。

 

C、信用取引 → 期末時点の時価で評価

 

法人で株式の信用取引をした場合、期末に決済されていない取引については、期末時点で決済を行ったものとみなされ、そこで発生する利益相当額(含み益の額)または損失相当額(含み損の額)は、利益又は損失として計上され、含み益に対しては課税されます。

 

2、FXの取り扱い

期末時点の時価で評価

 

法人でFX口座をもち、期末に未決済ポジションがある場合には、それぞれの通貨の時価で評価し、未実現の為替差損益をついて認識します。そこで発生する利益相当額(含み益の額)または損失相当額(含み損の額)は、利益又は損失として計上され、含み益に対しては課税されます。

 

3、仮想通貨の取り扱い

 

A、活発な市場が存在する仮想通貨 → 期末時点の時価で評価

 

活発な市場が存在する仮想通貨に関しては、期末に未決済ポジションがある場合には、それぞれの通貨の時価で評価し、未実現の為替差損益をついて認識します。そこで発生する利益相当額(含み益の額)または損失相当額(含み損の額)は、利益又は損失として計上され、含み益に対しては課税されます。この「活発な市場が存在する仮想通貨」とは、該当の通貨が売買・換金を行うことが可能な程度に十分な流動性を有しているかどうかの観点から判断を行うこととされ、基本的には日本の交換所で取引可能な通貨はこの「活発な市場が存在する仮想通貨」に該当するものと考えられます。

 

 

B、活発な市場が存在しない仮想通貨 → 帳簿価額(買った金額)で評価

 

反対に「活発な市場が存在しない仮想通貨」に関しては帳簿価額(買った金額)で評価することとなります。

 

 

C、信用取引 → 期末時点の時価で評価

 

信用取引について期末に未決済ポジションがある場合には、それぞれの通貨の時価で評価し、未実現の為替差損益をついて認識します。そこで発生する利益相当額(含み益の額)または損失相当額(含み損の額)は、利益又は損失として計上され、含み益に対しては課税されます。

 

私は仮想通貨(暗号資産)に関しては現状は決済手段としてはほとんど使われておらず、アセットとしての側面からが強いことからも時価評価ではなく簿価で評価、少なくとも株式同様に保有目的に応じた評価を選択できるようにした方が良いと思っています。

 

なお、2019年4月1日前に開始し、かつ同日以後に終了する事業年度については仮想通貨を会計上時価評価していない場合は時価評価ではなく、帳簿価格で評価することが可能となる経過措置が講じられています。

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