キャッシュレス決済ポイント還元事業に関し、決済手数料補助を受けた場合の消費税の取り扱いって?
消費税率の増税と併せて、キャッシュレス決済・ポイント還元事業が始まってはや一か月以上がたちました。そこで今回はキャッシュレス決済・ポイント還元に関して、消費税に関する税務上の取り扱い、特に ①事業者が決済手数料の補助を受けた場合、と ②経費の支払いをキャッシュレス決済で行いポイント還元を受けた場合、の2つの事例についてご紹介させていただきます。
1:事業者が決済手数料の補助を受けた場合
このキャッシュレス決済ポイント還元事業に参加した事業者が決済事業者へ支払う手数料は3.25%以下にするように定められています。さらにその手数料の1/3を国からも補助してもらうことができます。つまり、例えばクレジット会社に支払う決済手数料が3.25%の場合、その1/3である1.08%を国が補助してくれることとなるため、事業者が負担する手数料は実質2.17%となります。
その際、取引各時点における事業者の消費税に関する取り扱いは以下のようになります。
例1)加盟店手数料がクレジットカード手数料等の消費税が非課税の場合の会計処理
カード決済額:110,000円(内,消費税10,000円),加盟店手数料率33.0%(3,300円)の場合
[A] 一旦全額の加盟店手数料を徴収した後に当該加盟店手数料の1/3を支払う方法
① クレジットカード決済時
売掛金 110,000 / 売上 100,000
仮受消費税 10,000
② 決済事業者から加盟店への支払い時
普通預金 106,700 / 売掛金 110,000
支払手数料(非課税)3,300
③決済事業者から加盟店への経費補填金の入金時
加盟店が負担した手数料3,300円×1/3=1,100円の補助
普通預金 1,100 / 雑収入( 不課税 )1,100
[B] 予め補填金1/3を精算する方法
① クレジットカード決済時
売掛金 110,000 / 売上 100,000
仮受消費税 10,000
② 決済事業者から加盟店への支払い時(売掛金入金時の相殺)
従来の手数料3,300円を請求(売掛金入金)で補助予定額1,100円を差し引く
普通預金 107,800 / 売掛金110,000
支払手数料(非課税)3,300 / 雑収入( 不課税 )1,100
この様に決済事業者が加盟店に支払う加盟店手数料の1/3相当額は,国庫補助金を財源とした補填金であり,対価性があるものではないため,消費税は不課税となります。
例2)加盟店手数料が電子マネー手数料等の消費税が課税の場合の会計処理
カード決済額 110,000円(内,消費税10,000円),加盟店手数料率2.0%(税別)2,200円の場合
① 電子マネー等での決済時
売掛金 110,000 / 売上 100,000
仮受消費税 10,000
② 決済事業者から加盟店への支払い時
普通預金 107,580 / 売掛金 110,000
支払手数料 2,200
仮払消費税 220
③ 決済事業者から加盟店への経費補填金の入金時
加盟店が負担した手数料2,420円×1/3=806.66円
普通預金806 / 雑収入( 不課税 )806
このように加盟店手数料が消費税の課税対象である場合であっても、決済手数料の補助はあくまでも国庫補助金を財源とした補填金であるため、対価性はなく消費税は非課税取引となります。
2:事業者が経費の支払いをキャッシュレス決済で行いポイント還元を受けた場合
次に事業者が経費の支払いをキャッシュレス決済で行いポイント還元を受けた場合の消費税の取り扱いについてご紹介します。
例えば税込み1,100円の消耗品Aをキャッシュレス決済でコンビニエンスストアで購入した場合、その場で22円のポイント還元を受けることができ、支払う金額は1,078円となります。
これは一見すると値引きに見えるため、1,078円を経費に計上すべきとも見えますが、ポイント還元額は値引きではなくあくまで補助金であるため、その際に計上すべき仕訳は以下の通りとなり、1,100円が仕入税額控除の対象金額となります。
消耗品 1,000 / 電子マネー 1,078
仮払消費税 100 / 雑収入(不課税) 22